営業にスキルは要るか

今回は営業のスキルのお話。体験談から。


新卒で財閥系の大手不動産会社に入社した私は、人事部に配属された。

本来、営業系の社員を大量に雇用する会社の中、管理部門を希望して採用されたからだ。

会社からしてみたら、すごく変わったヤツだと映ったに違いない。


そのときの私の考えとしては、

新卒でもない限り、大手企業の本社中枢に入り込んで、大手企業の合理的な経営管理を勉強することはできないというものだった。


3年ほど経ち、自分の中で「もうやりきったから学ぶことは少ない」と感じた。

そこで、営業への異動を申し出た。

ただ、そんな前例はなく、上司には却下された。管理部門の他の部署、例えば、財務部への異動はどうかというのである。が、「希望を聞いてくれなければ辞める!」とわがままを押し通し、何とか営業への異動をかなえてもらったのである。


そもそも入社の時点で、自分には営業は向いていないと思っていた。

できないと完全に思い込んでいた。営業は特殊能力を持つ「営業向き」の人がやる仕事だと思っていたからだ。


最初に配属されたのは。越谷にあるマンション。

100戸ほどの中規模な物件だが、販売に苦戦し、半年ほどはちょろちょろと1戸ずつ、売れていくという状況、11戸が売れ残っていた。


営業が初陣の私は、とにかく一生懸命にがんばった。

マニュアルなんてものはほとんど気にせず、とにかく物件に惚れ込み、物件の良さを知ってもらおうと必死にアピールした。ノルマがどうとかではなく、お客様のことだけを考えた。

平日はモデルルームに奥様が来場し、土日に旦那さんを連れてきてもらう。

必要があれば、ヘルメットをかぶせ、工事中の現地を見学してもらう。


そんな毎日を1ヶ月過ごした。夢中だった。

そして、なんと1ヶ月で、売れ残り11戸のうち、10戸を私が販売していた。

上司にも奇跡的だと言われた。

同時に思ったのは、営業には特殊な能力なんて要らないということ、

自分にだってできるということだった。(つづく)


中野 裕哲 - Hiroaki Nakano        - オフィシャルブログ