カリスマ経営者の教え その2

「ムダにこそ、意味がある」


金庫番として修行していた時代、尊敬する社長に、いつも、こういわれていた。

これは真実だと思う。


経済成長が止まり、世の中で成熟していくと、雑巾を絞るようにして時間やコストを削減し、何とかして利益を出そうと考える。


ムダを省き、合理化して、大量にこなす。

マニュアル化され、そこに愛情がなくなる。


でも、本当に大事なのは、むしろ、省こうとしていた「ムダ」のほうかもしれない。


道路工事をする際、舗装したあとは上から見えない部分、つまり、下地の部分の仕上げが一番大事なのだそうだ。そこの仕上げが甘いと、時間が経つとデコボコができ、水たまりができたり、車の通ったあとが凹んで走りにくくなる。


社長が現場を巡回すると、下地の部分だからといって、ほんの小さなゴミひとつ落ちていたりすると、現場監督が、こっぴどく叱られたそうだ。あとで見えなくなる部分にまで、細心の注意をもって仕事せよと。


どうせ見えなくなる部分だからと言って手を抜く業者もあるだろう。でも、そこまでも手を抜かないと評判になれば、むしろ信用を生み、会社は栄えるのである。


時間がないからといって、電話1本、メール1本しなくなったら終わりだ。

メールで伝えるのであれば、1行でも多く会話をしよう。伝えよう。雑談をしよう。

コミュニケーションをとろう。

自戒を込めて、そう思う。


中野 裕哲 - Hiroaki Nakano        - オフィシャルブログ